全編にわたり囲碁の対局シーンにあふれる映画「碁盤斬り」が17日に封切られた。囲碁を愛する脚本家、加藤正人さんの長年にわたる映画化への思いが結実。白石和彌監督がディテールを極めた映像は、囲碁を知らずとも勝負の呼吸、醍醐(だいご)味を味わえる、異色の時代劇となった。
藤井聡太人気に沸く将棋ならいざ知らず、囲碁が映画のメジャーシーンに登場するとは、囲碁記者の私は夢想だにしなかった。監督は「孤狼の血」シリーズの白石さん、主演は草彅剛さん。脇を清原果耶さん、斎藤工さん、國村隼さん、小泉今日子さん、中川大志さんらが固める。実力派の彼ら、彼女たちが碁石を盤上に放つ。スクリーンで見て、不覚にも胸がアツくなった。
記事後半では、「碁盤斬り」の構想を長年あたためていた脚本の加藤正人さん、時代劇に初めて挑んだという監督の白石和彌さんが、今作への思いを語っています。
ときは江戸時代。草彅さん演じる柳田格之進は無実の罪を着せられ、故郷の彦根藩を追われ妻も失い、娘と江戸の貧乏長屋で暮らしている。清廉潔白を旨とし、絶対に曲がったことをしない堅物。囲碁も小細工なしの正々堂々とした棋風で高手の域に達した。ある日、旧知の藩士から冤罪(えんざい)事件の真相を知らされる。わが身を陥れ、妻を死に追いやった宿敵への復讐(ふくしゅう)を決意する――。
草なぎさんら出演者に棋士が手ほどき
囲碁のあるシーンは所作、会…